016 藤堂高虎の遺訓 

十数年前の40代後半に、三重支社長として単身で赴任しました。

三重県、全県を管轄する支社で営業職員、スタッフを含め800名に及ぶ職員が勤務しておりました。

初めての単身生活でもありましたが、早朝の散歩を習慣づけていました。

 

社宅から、津市役所、そして伊勢津藩の初代藩主であった藤堂高虎を祀った高山神社を経て、津城の天守閣跡を上るようにしていました。天守閣跡の東の方角、伊勢湾からの朝焼けは見事な景色を描いていました。また春には津城跡全体の桜は咲き誇っており今も忘れることは出来ません。

 

津城の天守閣跡には戦国武将で城主であった藤堂高虎の騎乗像と共に彼の遺訓を記した碑が建っていました。

津藩藤堂家の家臣はその遺訓を座右の銘としていたそうです。

その遺訓とは、

「寝屋を出るよりその日を死番と心得るべし。かように覚悟極まるゆえに物に動ずることなし。これを本意となすべし」です。

つまり高虎は、毎日を今日こそが死ぬ日だとの覚悟をもって生きよと家臣に言い聞かせたのでしょう。

 

新米の支社長として当時は毎日が戦いの連続でした。そんな私を毎朝諭してくれたのが、高虎の遺訓を記した碑でした。

毎朝毎朝散歩の途中、遺訓に手を合わせ、心で念じ支社長としての「魂」をそして「覚悟」を宿しておりました。

誰よりも誰よりも、三重支社の職員800名、一人ひとりを必ず幸せにしてみせる。。

そして、もし私よりこの気持ちが勝っている人が出てきたら、その人に支社長の座を譲ろうと覚悟しておりました。

 

今も東京に戻り、早朝公園を中心に歩くことを日課にしていますが、時に東の空の鮮やかな朝焼けに手を合わすことがあります。

 

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代表   岡  靖弘