007 明日ありと思う心の仇桜

昨日、本年の桜も最後かと思い、千鳥ヶ淵・北の丸公園を散策しました。

濠には花筏ができていて、今年の桜を名残惜しく愛でて参りました。

 

「明日ありと思う心の仇桜 夜半に嵐の吹かぬものかは」(親鸞)

 

この歌は、親鸞聖人がまだ若松麿だったころ、その幼名を捨て、9歳で得度した時に詠んだ歌です。

出家を願い出、剃髪しようとしたとき、周囲の一人が「時間が遅いし明日にしてはどうか」という言葉に対する返答であったと言われています。

 

大辞林によると、桜は明日もまだ美しく咲いているだろうと安心していると、その夜中に強い風が吹いて散ってしまうかもしれない。

明日はどうなるかわからない、という世の無常を説いた戒めであると書かれています。

 

実は千鳥ヶ淵・北の丸公園を散策し今年の桜を楽しんだ日の夜半、東京に雨が降り、朝方その雨音で目が覚めました。

 

日課の早朝の公園への散歩では、雨に負けず、その日も辛うじて桜の花が残っているのが確認できましたが、改めて親鸞の「明日ありと思う心の仇桜 夜半に嵐の吹かぬものかは」の歌を思い出し、公園の桜の木に手を合わせました。

 

「せっかくの決意も一夜で霧消してしまうかもしれません。どうぞ情けをお捨てになって、髪を剃ってください」という幼き親鸞の覚悟が聞こえてくるようであった。

 

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代表  岡  靖弘